ベーコンエッグ

こばっかいは、今、利き腕を骨折している。とうぜん、食事も左手。モノを書くのも左手。えらいなと思うのは、「せっかくだから……」と左手で箸にも鉛筆にもトライしていること。ロボットの製作でスチロール板をカッターで切るときも左手でやっていた。できない、やりにくいとかんしゃくを起こすこともなく。このあたりはこいつのいいところ。

ウチは、親父、私と左手でも箸が使える男が続いており、こばっかいは三代目となる。もともとはエンジニアである親父が仕事で右手を失ってもなんとかなるようにと左手で食えるようにした→私がまねした→こばっかいがまねしたという流れ。高3の秋に右手中指を骨折したときそれなりに食えたりとか、会社入ったあと宴会で左側遠くの皿からも左手で自然に取れたとか、それなりにメリットがあった。

左側の皿からも取れるっつーのはメリットなんすよ。宴会、全体では食べ物が余るわ、私は大食いで一人分では足りない。とは言っても、早い段階であっちこっち両方から取るといろいろ言う人も出るし。かといって、最後の最後に余ったからって言われても、それはそれであんまりうれしくないし。なので面子や様子をみつつ、適当に間引いてゆくのだけど、そういうとき便利だったのです、はい。

こばっかい、家での食事ではスプーンなどにせず箸だけを使って食っている。先日はついにラーメン屋さんにもトライ。麺類を左手で食うというのはハードルが高く、私も、全部を左手で食える自信はない。ラーメン好きということもあるのだろうけど、多少、ドンブリに顔が近づきつつも左手で完食。たいしたものだ。

でも、硬いモノを箸で切るなどの力が必要な作業はまだまだ。たぶん、筋肉が不足しているのと無駄なところに力が入って肝心の所に力が入りきれないのだろう。そんなわけで、朝食のベーコンエッグに苦労していた。ベーコンが切れないのだ。

(こばっかい)

（ベーコンが切れず）うーん、うーん……

(お世話係)

苦労してるわね。

(こばっかい)

うん……。

(お世話係)

じゃあ、次はこばっかいのだけベーコン抜きにしてもらおうか。

(こばっかい)

やだー！。（ベーコンエッグ、好きなのだ）

(Buckeye)

ベーコンなしベーコンエッグってか？

(お世話係)

そうそう、トゲアリトゲナシトゲトゲみたいに。

(Buckeye)

(激爆)

(お世話係)

どうしたの？

(Buckeye)

いや、一緒に焼くからさ、「ベーコンの匂い付きベーコンなしベーコンエッグ」になるなと……

(こばっかい)

そんな……(T_T)