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2008年11月12日 (水)

携帯用ヘッドホンアンプ(ダイアモンドバッファ付き)の製作-4(入力抵抗の影響)

このところちょこちょこいじっているなべさんのHPAはアンプ部分にオーバーオールで帰還がフルにかかっており、抵抗などによる音質の違いはないと言われる。しかし、この帰還ループに入らない入力部分の抵抗はもろに音に影響するらしい。入口のVRによって大きく音が違う……つまり、携帯用HPAにおいては抵抗分割による入力ATTによって音が違うことになる。

自分の耳でどう感じるのか、少し試験をしてみた。実は、なべさんのサイトに「抵抗の音質を正しく評価する」というページがあり、そこで、先日作ったOPアンプ一発の携帯用HPAに使ったDALE CMFがB評価になっているのを見つけたので、自分がどう感じるか、チェックしてみようと思った次第。

通常は入力にVRが入っているわけで、固定抵抗ならそれなりのもので下手なVRを十分にこえる音がするはずだとは思うのだけど、でも、同じ値段の抵抗でもう一歩、音が良くなるのならそっちにしたいと思うのが人情だ。

■試験条件

バラック状態の据置用HPAを改造して入力の2CP601を切りはなし、抵抗分割のATTを挿入する形で試験をしてみた(結線を変えれば、2CP601にもできる)。

20081112_rimg0154

◎ライン入力からOPアンプの入力へのラインに入る抵抗

  • 秋月の1円抵抗
  • DALE CMF(海神で1本50円)
  • ニッコームRP-44C(鈴商で10本100円)
  • タクマンREY(海神で1本50円←もうすぐ千石が半額程度で取り扱うらしい)

◎ライン入力とGND間に入る抵抗

  • 秋月の1円抵抗
  • DALE CMF(海神で1本50円)

◎音源
WinAmp(WMA Lossless)→ASIO4ALL→なべさんのUSB-DAC

■固定抵抗による違い

たしかにかなり違う。

入力ラインに入る抵抗については(↓)のように感じる。

秋月の1円抵抗 <<<< DALE CMF << タクマンREY =< ニッコームRP-44C

タクマンREYとニッコームRP-44Cは甲乙つけがたいが、タクマンREYのほうが華やか、ニッコームRP-44Cのほうがおとなしめで自然。私の好みとしてはRP-44Cが上、かな。CMFはこれだけしばらく聞いているとこれはこれでいいんじゃないかという気がするくらいの音はしていると思うが、ニッコームRP-44Cなどに差し替えるとはっきりと違いを感じる。

入力とGND間に入る抵抗は、CMFと1円抵抗で違いを見てみたが、聞き分けられるほどの違いがない。ラインに入るのでなければ影響がないらしいので、聞き分けられないのが正解なのかもしれない。

■VRによる違い

ついでなので、VRによる違いも聞いてみた。

  • なべさんお勧めの2CP601(10kΩ A。最近値上がりして2500円強--;)
  • 9mm角のALPS小型2連VR(10kΩ A。安ければ150円、高くて500円?)。9mm角のALPS小型2連VRは「カーオーディオなどに使われている高音質のVR」らしく、小型化する人がよく使っている。
  • 鈴商で見つけたスイッチ付き小型2連VR(5kΩ B、250円)

今、計画中の携帯用HPAは単四3本用ケースになべさんのOPアンプ+ダイアモンドバッファを詰め込んでしまおうというものなので、VRなし、固定抵抗による固定ATTのみ。つまり、VRの検討は不要なのだが……ま、ついでということで。

上記3つを聞いてみるつもりだったが……鈴商で見つけたスイッチ付き小型2連VR、不良品だったらしい。ギャングエラーがどの程度あるかとテスターであたってみたら、片チャンネルは抵抗値が変化しないのだ。次回、秋葉原に行くとき、一応、持っていってみようと思うが、とにかく、今回は試聴から外す(--;)

それはともかく。

結果は(↓)

ALPS小型2連 << 2CP601

けっこう違うと思う。ALPSもこれだけ聞くと「悪くないじゃん」と思うのだが、比較してしまうとちょっと、である。やっぱ、みんなが言ってるとおりか……。

ALPS小型2連が使えるなら、単三4本用電池ケースでVR付きの携帯用HPAなんてのもアリだと思ったんだけどな。

ちなみに2CP601は単三用電池ケースに入らない。単三4本用電池ケースは有効内寸が15.2mm、2CP601は16.2mm角。0.1mm、0.2mmの問題ならケースをはつる(厚みをそぐ)手があるが、1mmはさすがに無理だと思う。

■VRと固定抵抗の組み合わせ

固定抵抗によるATTは、結局、ラインに入る抵抗とライン・GND間に入る抵抗の比で入力レベルが決まる(ホントは入出力側のインピーダンスとかも絡むらしいが)。先日来の超小型携帯用HPAでは、この比を適切に選ぶという作業をしたわけだ。ということは、ラインに入る抵抗を固定して、ライン・GND間にVRを入れれば、それなりに音量の調整ができることになるし、これなら、まともな固定抵抗とALPS小型2連で行けるはず。

名案じゃんと思ったら、すでにさまざまな人がトライしているらしい。疑似T型とかT型もどきとか、いろいろな名前で呼ばれている。

というわけで、こちらも試験してみたが……これはこれで問題があるようだ。

このパターン、通常のVRと違って、ラインに入る抵抗値が変化せず、固定となる。そのため、音量の最小と最大の幅が縮む。出力側(イヤホンやヘッドホン)が固定なら十分な調整代があるのだが、イヤホンやヘッドホンの効率が大きく違うとき、その違いを吸収できるかどうかがけっこう微妙。

最大側を大きくするためにはラインに入れる抵抗値を小さくする。こうすると、最小音量がけっこうな大きさになり、効率の高いイヤホンだとめいっぱい絞った状態で普通に聞こえてしまう。また、この状態だといわゆるギャングエラーが出やすくなる。実測してみたが、一応、カーオーディオなどに使われるというALPS小型2連でも、LとRで3Ωと5Ωとか、4Ωと10Ωとかってくらいの違いはすぐに出るようだ。また、VRの端っこは抵抗値の変化が不安定なことがあるようで、回して行くとき、音が単純に大きくならず、一瞬、小さくなったりすることがある。このあたりを勘案すると、できれば、少し回した状態で聞きたいと思う。

ギャングエラーに対しては、最小時の抵抗値の違いを測定し、小さい方にそのぶん、固定抵抗を直列にかませるという手はあるかも。ギャングエラーは音量を絞ったときに問題になるわけだが、それは要するに、音量を大きくすると、抵抗値に対して左右の抵抗値の差が相対的に小さくなるからだろう。であれば、一番問題になる最小時を補償するくらい入れてやれば少しマシになるかも、というアイデアだ。VRに個体差があるので、使うVRを実測して入れる抵抗を決めることになる。

また、手持ちのイヤホンとヘッドホンにはあまり低能率のものはない(100dB以上ばかり)ので、私としては、最大側よりも最小側が問題。つまり、ラインに入れる抵抗値は大きくすべき。まあ、えいやっと、5kΩから10kΩというところか。

VR回転範囲の端っこが不安定な件は、ラインに入れる抵抗を5kΩから10kΩにすればそれなりになる。もう少し改善したければ……VRと並列に固定抵抗を入れてみるか? 計算上、不安定さは改善されるはずだが、こうすると、音量の最小と最大の幅が縮むという問題が再び浮上する。うーん、VRと並列に入れる固定抵抗、あるいはラインに入れる固定抵抗を切り替えられるようにする???

うーむ……普通のVRの入れ方だと、このあたり、いずれもうまく行くんだ……。ややこしいことをするくらいなら、すなおに2CP601を入れる方策を探ったほうがいいのかも?

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■一連の記事へのリンク

「携帯用ヘッドホンアンプ(ダイアモンドバッファ付き)の製作」

  1. ケースの検討
  2. 部品配置の再検討
  3. 部品配置の再々検討
  4. 入力抵抗の影響
  5. 仕様の詰め
  6. 基板の製作
  7. ケース組込

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コメント

Buckeyeさん

こんばんは~.オーディオの深みにハマりつつありますね(笑).
抵抗ですが,私のオススメはブログでご存知のとおり,東京光音のRD.是非機会がありましたら一度聴いてみてください.海神無線,三栄電波で購入できます(@90円).歪が少ないことからくる奥行感に驚かれると思いますよ(^^

投稿: KAN | 2008年11月12日 (水) 23時12分

はい~、深みにはまりつつあります。KANさんところなどを参考にしたりしつつm(_ _)m

東京光音のRD、モノは確認してます。ただ、今回は「ダイアモンドバッファまでを単四3本用電池ケースに収める」という無茶なプロジェクトなので、試聴対象から外してしまいました。デカすぎてとても入りません>東京光音RD

据置用は入力がVRになるから、固定抵抗は基本的に関係なくなりますし。オーバーオールのNFBをかけないなら、途中の抵抗をどうするかで試聴の対象になると思いますけど。そこまでの「深み」はもうちょい先でしょう(って、否定はしないのね>自分)

投稿: Buckeye | 2008年11月13日 (木) 05時02分

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