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2008年11月 1日 (土)

芝浦工大ロボットセミナー全国大会-雑感

子どもたちのロボットセミナーにつきあって感じたことなどを書いておこう。

■改造と学び

セミナーはとてもよかったと思う。キットなのでマシンは簡単に作れるし、バトルで男の子を中心に盛りあがるし。なんといってもよかったのは基本的に改造自由なので、やり方次第でいろいろと学べること。

こばっかいは、2回のボクサーセミナーを通じて、機械の基本的な組み立て方(ワッシャの入れ方、ネジの締め方など)、金属加工のやり方(けがき、切断、端の処理、穴開け、バリ取り、タップの使い方などなど)を身につけたほか、てこの原理、摩擦、電気の基礎知識なども学ぶことができた。どこまでホントに身についているか心許ないところも多いっちゃ多いが、実物を前にしており、かつ、勝負がかかっていて真剣なので、それなりには身についたんじゃないかと思う。

そういう意味では、今回の全国大会で大きな改造ポイントである足を制限したのはもったいないと思う。

芝浦工大の人にその点を指摘すると「比較的簡単な改造でもマシン性能に圧倒的な差が出て、下手すると勝負にならないくらい。それはあんまりだろうということで改造は制限した」とのこと。でもねぇ……逆に言えば、素材は同じなのに、そこまでの違いが出てくるのはなぜなのか、を考えれば、とてもいい勉強になるってことなんじゃないだろうか。この部分の改造を禁止されたら、こばっかいもあんなにたくさん、学ぶことはとてもなかった。「バトルで勝ちたい。そのためにはどうすればいいか」と考えるからこそ、わからないなりにいろいろと調べて勉強する原動力になるわけで。

今回のようにデコレーション以外の改造を大きく制限してしまうと、「キット組みたてて、バトルして、楽しかったね」にしかならなくなる。いろいろ調べて、試作して実験してって子どもがいるなら、それはいろんな意味でいいことなんじゃないのかなぁ。また、それだけやって圧倒的な戦力差になるというのは、努力の結果が目に見える形で帰ってくるということであり、それはそれですばらしいことだと思うんだけど。最近って、そういう体験ができるチャンスが少なくなってると思う。そんな話をしたところ、「それも一理あるので、あとでみんなで検討する」とのことだった。

一個所、改造すると関連する部分にいろいろと不具合が出て、次々に改造しなければならなくなったりするというのも、今回、学んでくれたのではないかと思う。「夏休みからやれ」という親の提案に対しなかなかスタートしなかった原因のひとつに「自分が考えている改造なら1週間もあれば……」という思いがあったらしい。でも結局、マシンがそれなりに安定するまで1カ月以上、かかったわけで。物作りなんてそんなものなのに。

■基本が大事

「奇抜な改造もいいけど、基本が大事」というのも最初から言い続けているが、これも、今回、かなり身に染みてくれたのではないかと思う。最後の数日で脚部に細かい改造と調整を施し、スムーズに動くようにした結果、歩く速度がはっきりと上がった。バトルフィールドの端から端まで、12秒強かかっていたのがなんと9秒弱(私の興味で電流をはかってみたところ、モーター2個で500~600mAだったものが400mA強まで落ちた。それだけ無駄な力を使わなくなったということ)。これだけ違うと駆け引きで大きく有利になる。

■操縦と練習

そういうマシン性能を引き出せるかどうかは操縦にかかっている。そして、上手に操縦ができるようになるためには練習が大事。この点も、今回、わかってくれたのではないかと思う。1年前の全国大会では、「あのバカ、何をやってる」「それじゃダメだろ」「ほ~ら、やっぱり」「だから練習しろと言ったのに」という親の罵声がたくさん、ビデオに録画されていた。指示待ちにはしたくないので試合中の子どもに指示はしないことにしているが、思わず小声で漏れた罵声が録画されたのだ。その後、今年の春ぐらいから操縦がとてもうまくなり、今回も、近くで見ていた人が「あの子、とっても操縦がうまい……」とつぶやくくらいだった。親も、ハラハラドキドキはしてはいるが(勝負は時の運だし)、イライラはしなくなった。

なお、操縦練習をするためということで、親からは(↓)のように簡易版のバトルフィールドをプレゼントしてあったりする。ここまでしなくてもという気もするが、「一生懸命やるならできる限りのサポートはする」が方針なので。

●自作のバトルフィールド

20081102_rimg0145

■努力と結果

努力をしたから報われるとは限らない。世の中、そんなものだ。でも、努力をしたこと、それによって何かを身につけたことは、結果が出ても出なくても変わらない。今回、足はノーマルに戻して戦ったが、でも、学園祭で見たすごいロボットからヒントを得て、1年間、いろんな人に話を聞き(農工大ロボット部のOBにもいろいろと質問して教えてもらったらしい)、試作して実験して、一応、最終的なものを作ったという経験は残る。

その上で、いい結果が出ればうれしいものだし、自信にもつながる。そういう意味で、今回、初めて表彰されたことはとてもいい経験になったんじゃないかと思う。それがたとえ、知らない人のほうがずっと多いロボットセミナーにおいても、だ。

■余談

こういうセミナーは大学のいい宣伝にもなると思う。ウチの子どもたち、大学名なんてかろうじて片手の指くらいしか知らないが、その1校は芝浦工大である。

それから、全国大会を学園祭にぶつけるようにしたのも名案。スキモノの子どもと親が大勢、集まるのだ。参加者にとってはいろいろと見れて楽しいし(ウチの子どもたちはめいっぱい楽しんでいたし、アチコチでセミナー参加の子どもに会った)、学校にとってはいい広報になるし、学生にとっては模擬店の売り上げも展示への来訪者も増えるといいことずくしのはずだ。

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