« こばっかいの算数(続) | トップページ | エレクトロニクス入門 »

2008年11月26日 (水)

GND(電圧中点)の作り方

最近作っているヘッドホンアンプは正負電源とすることでカップリングコンデンサをなくしたタイプ。この場合、電源電圧のちょうど真ん中の電圧をGNDとして得る必要がある。この中点の作り方がいろいろとあるようなので、その動作などを少し考えてみた。

電池を偶数本使ってシンプルにやると2回路のスイッチが必要になるが、この場合もカレントミラー回路などを使えば1回路スイッチですむ。小型の2回路スイッチはなかなかないし、電流容量があまり大きくないらしい。そんなこんなから、いろいろな展開を考えるために少し勉強してみてもいいかと。

電子回路の動作からはここ20~30年も遠ざかっていたので、ぱっと見ただけではよく分からないので、頭の整理をするために書いたのがこのページ。つまりこのページはあくまで私の理解をメモしたものであり、大間違いの可能性があることをお断りしておく。

■偶数本の電池を使う

偶数本の電池を使ってプラス側とマイナス側に等しい本数を配するのは、直感的にもすぐわかる。っていうか、まんまである。

パッと見、これ以上はないように思える。シンプルだし。

ただ、電池の状態がバランスしていないと中点が狂う心配はある。私は基本的にEneloopを使っているが、等しい状態の電池が満充電になっていればいいが、一部が少し使ったものだったり劣化していて満充電しても電圧があがり切れない(あるいはすぐに低下する)などの問題があったりすると、プラス側とマイナス側の電圧が異なってしまうことになるわけだ。

司さんが書かれた「電池駆動の注意点」あたりも、電池の状態がそろっていないと問題の種になりそうな気がする。

■トランジスタによるカレントミラー回路

KANさんがよくやられている方法(↓など)。

完成しました(^^♪~ミニミニだけど高音質HPA>『LME49721のクリアな音の生かし方』の回路図

少し調べてみるとカレントミラーというのは、上図でQ3側に流れる電流(抵抗を通過する電流)と等しいコレクタ電流がQ4に流れるというものらしい。

これがなぜいいのか。

Q4側(出力側)につながっている回路の状態が変化しても、Q4を流れる電流が変化しない(Q3側によって規定されている)→安定する、ということだろう。

KANさんの回路では、Q3とQ5は直列で等しい電流が流れる。つまり、Q4とQ6にも等しい電流が流れる。このとき、中点の電圧はQ4のコレクタ・エミッタ間抵抗とQ6のコレクタ・エミッタ間抵抗による分圧によって作られる。つまり、Q4とQ6の特性がそろっていれば中点がきちんと出るし、特性が異なっていれば狂うということか。

ところで、Q3とQ5を流れる電流(2mAくらいか?)とQ4とQ6(同じく2mA?)を流れる電流はどこに行くのだろうか。どう考えても、電池から出て電池の反対極に流れて行く。ということは、ここを流れる4mAは中点形成のためだけに流れる電流ということになる。電池2本駆動時、この回路で4mAを消費すると全消費電流が30%ほど増える計算になるので、小さい値とは言いがたい。単三駆動なら気にする必要はないが、単四駆動だとちょっと気になるかも。まあ、それでも1日でなくなるわけではないのでいいっちゃいいんだけど。

あと、Q4とQ6に同じ電流が流れるということは、Q4とQ6の間から伸びているGND側には電流が流れない、はず。それっていいのか? オペアンプは正負が等しい対称電源で使うことが多いけど、正側だけの単電源でも使われるし、その場合は負電源側がGNDになるっと。要するに、正負電源におけるGNDは電圧の基準であって電流が流れることはない、か? だからカップリングコンデンサがいらなくなる???

下手の考え休むに似たり。実際の回路で測ってみよう。ブレッドボードの回路でGND部分の電流を測ってみた。たしかにほとんど流れない。電池4本で40mA近い全消費電流に対し中点は0.5mAくらい。もちろん、入力される音の変化によってアンプ側の状況が変動すればいろいろと影響が出るはずで、瞬間的にはいろいろなことが起きているのだろうとは思う。

■オペアンプによる中点形成

司さんのほうはオペアンプを使った中点形成の回路を紹介されている。

評価回路を改めて見てみる。(3:BASE駆動回路と部品選定について。)

「①1(2)回路オペアンプによる『ボルテージフォロア』回路」も「②2回路オペアンプによる『レールスプリッター』回路」も、おおざっぱに言えば、上のカレントミラー回路と同じような原理、かな? 正負電源の正と負の間の電圧を抵抗で2分割して基準となる中点電圧を作り、かつ、出力側にぶらさがっているアンプ側の影響が抵抗までいかないようにオペアンプをはさむ、と。

■正負定電圧電源

AC電源とする場合、電源の作り方は大きく二つ。一つはなにがしかのやり方(レギュレーター方式かスイッチング方式か)で単電源を得て、それに中点形成の回路を組み合わせる方法。もう一つは、正用と負用のレギュレーターで正負電源を作る方法。

負電源用レギュレーターとしては、LM337T(出力電圧可変、150~400円くらい)などがある。

■司さんのページに中点形成方法を比較する記事があった

分圧精度の壁(現在、加筆中)

「④『抵抗分圧』回路」というのは、要するに、カレントミラー回路やオペアンプを使ったボルテージフォロア、レールスプリッターなどの基準部分だけでなんとかしてしまおうという考え方と言えるだろう。

シンプルなので小型化するときによさそうだが、条件によってうまくいったりいかなかったりするようだ。だからカレントミラーだなんだという考え方が出てくるということかな。

気になるのは、司さんが上記2ページのいずれにおいても「両電源化が一番」とされていること。さぁて、結局のところどうしたらいいのかよーわからんぞ(--;)

|

« こばっかいの算数(続) | トップページ | エレクトロニクス入門 »

DIY-エレクトロニクス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: GND(電圧中点)の作り方:

« こばっかいの算数(続) | トップページ | エレクトロニクス入門 »