SimplyTermsアップデート
自作して公開している翻訳支援環境、SimplyTermsのver.1.00.0を公開しました。
今回は動作期限延長のみです。といっても期限を3000年にしてあるので、実質、動作期限なしです。今後はバグフィックスなどのときにのみ更新します。まあ、ここ何年か、バグフィックスなしで来てるんですが……。
◎機能強化
なし
◎バグ修正
なし
◎アップデート方法
stフォルダごと上書きコピーが一番簡単です。各種設定は旧版のものが引き継がれます。
自作して公開している翻訳支援環境、SimplyTermsのver.1.00.0を公開しました。
今回は動作期限延長のみです。といっても期限を3000年にしてあるので、実質、動作期限なしです。今後はバグフィックスなどのときにのみ更新します。まあ、ここ何年か、バグフィックスなしで来てるんですが……。
◎機能強化
なし
◎バグ修正
なし
◎アップデート方法
stフォルダごと上書きコピーが一番簡単です。各種設定は旧版のものが引き継がれます。
(2020年12月に投稿したはずのフォルダーに入っているのに、投稿がないようなので、遅ればせながら投稿します。大昔のことを「先日」とか書いているのは、当時書いたものそのままだからです)
~の専門家、だれそれは「……」と言っています。
みたいな文章、翻訳ものだとよくあるじゃないですか。ノンフィクションの書籍とか、あと、産業系でもウェブ関連とかで頻出。あれ、私、ダメなんです。「で?」と思っちゃう。英語で読んでいるとなんとも思わず、するりと入ってくるんですが、日本語だとだめ。語っている専門家と、その言葉を紹介している筆者と、読者である自分の距離感のようなものがつかめないって言えばいいのかなぁ。
たぶん、英語なら主語がすべてをコントロールするので、ああそうなのねとすんなり入ってくるのに対し、日本語は、どうしても語り手が言葉の端々ににじむので、うん、専門家の意見はわかった、で、あんたはどういう意見なのよって筆者に対して思ってしまうんじゃないかと。前投稿『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』で紹介した、英語は「傍観者的ないし超越的な観点からの見方が優勢」というあたりが効いてると言ってもいいのかもしれません。なんか、ヒトゴト感が漂う気がしてしかたないんですよね。
だというのに、私は、いま、よりによってノンフィクションの書籍に軸足を置いているわけで、この手の原文が数え切れないくらい出てきます。しかたがないので、この何年か、試行錯誤を重ねています。毎回、悩みに悩んで。その結果、前述のような紋切り型に比べればそれなりに収まりがつくように訳せているつもりではあるけれど、まだ、本当のところ、どうすればいいのか、どういう考え方で訳せばいいのか、よくわかっていません。
ですが、こういう話、翻訳者のあいだで出た記憶がないんですよね。いや、まあ、ずっと悩んでいる私自身、出してなかったりするんで、みんな、悩んでいるけど表に出してないだけかも知れませんけど。
ともかく、そんな状態なので、こんなこと感じるのは私くらいなのかなぁと思わないでもありませんでした。その懸念を払拭してくれたのが本書、『続・情報のなわ張り理論』です。(前置きなげーよ>自分)
10年以上も前、2010年に書いて投稿したつもりで、なぜか投稿されていなかったらしいものを見つけたので、遅ればせながら。関連投稿として、「『の』の連続は避ける」、「連続を避ける」、『「編集手帳」の文章術』あたりもどうぞ。
■「の」の連続
「の」の連続でよくあるパターンが、「A、B、Cなどの××」と「などの」に絡むものでしょう。実例列挙はよくある形ですからね。
まず、Cが「××の××」となっているとき。そういうときの処理としては(↓)あたりが定番でしょうか。
●「など、」と「の」をなくす(この書き換えは不可能なケースあり)
「といった」「をはじめとする」などと書き換える
英日翻訳の校閲などを仕事にされている久松さんのツイートから。彼女は、我々翻訳者にとって参考になることをよく書いてくれています。翻訳関係者にはフォローをお勧めします。
誤解なく伝わる日本語を書くためのセルフチェックするポイント5つ
— 久松紀子/英日翻訳校閲、英語学習参考書および教材の執筆・校閲 (@merlin_witch) January 9, 2023
①主語と述語が呼応している②修飾語と被修飾語が近くにある③コロケーションが適切④同音異義語の変換ミスがない(ケアレスミスは「雑な人」と評価される)⑤一文ずつ接続語を入れて読んでから改めて削除(ロジックがチェックできる)
上記、基本的にそのとおりです。ただ、1点、私としては違う言い方をするなぁというところがあったので、そこについて書いておきたいと思います。
>> ①主語と述語が呼応している
これは「主語がなるべく揺れない」(=「主語の変化をなるべく減らす」)にすべきだと私は思っています。日本語の場合、主語は述語に従うため表に出ていないケースがよくあります。そのとき「主語と述語は呼応している」ことになります(正確に言えば、述語に呼応するものが暗黙の主語)。
ではあるのですが、「主語と述語がずれている」と一般に言われるのは、実際のところ、暗黙の主語が揺れているケースを指すことが多いと思います。ほかの述語と呼応している主語と無理やり組み合わせて考えてしまうからでしょう。
そのとき、暗黙の主語を「が」格で明示しても、「主語と述語の呼応」は実現できます。でも、それが主語と述語がずれていたときより読みやすく、誤解なく伝わるのかと言えばノーです。多少はマシかもしれませんが、せいぜい、その程度です。
根本的には、「そういう主語が揺れないように、揺れが少なくなるように述語を調整する」作業が必要になります。これをすると、「が」格で明示しなければならない主語もがさっと消えたりします。私が「テトリス」と呼んでいるやつです。
ちなみに、テトリスで消す対象は主語以外のことも少なくありません。「は」などで提示するテーマというか視点というかをうまく設定し、それが揺れないように書いていけば、主語にかぎらずいろいろなものがごそっと消えたりするわけです。
ビジネス vs. 職人仕事
ずいぶん前に書いたのに、投稿を忘れていたようですm(._.)m
なる記事をみかけました。だいぶ前に書かれたものなのですが。
我々の仕事も同じだよなと思いました。っていうか、昔から、私は、「我々は職人ですから」とよく言ってきています。職人って、どんな仕事でも同じなのではないかと。
ギリギリ客に出せるレベルなら、それなりの手間暇で到達できます(全員とは言わない)。そこまで効率的に到達する方法もそれなりにあるでしょう。でも、そこからもう一歩、二歩、三歩先のレベルまで行きたければ、かなり長い時間をかけてさまざまな努力をしなければなりません。
寿司職人と違う点は、製品を作るときにも同じことが言えるってことと(寿司職人の場合、少なくとも客前での仕事としては、上手な人のほうが時間がかかるってことはない、はず)、そこでどういうやり方をしているかでさらに伸びたり、逆に手が荒れて力が落ちたりするってことでしょうか。
ギリギリ客に出せる質でよければやり方はいろいろあります。いわゆる「効率的に仕事をする」という方法も含めて。でも、そこからもう一歩、二歩、三歩、先に行こうとすればとたんに非効率になってしまいます。「ビジネス」として考えるなら効率を最優先に追求するのもアリでしょうし、たぶん、短期的にはそのほうが儲かるでしょう。
でも、そういうやり方で、一生、仕事をしていくことができるのでしょうか? 職人は、自分の腕一本で生きていかなければならない世界なのに。モチベーションなど自分側の問題もあるはずだし、仕事環境の変化など外部の問題もあるはずなのに。ついでに言えば、もう一歩、二歩、三歩、先に行けば、単価を上げたり仕事を選んだりできるようになるはずだし(少なくとも私はそういう例を掃いて捨てるほど見てきた)、そうなっている人は業界内で「あの人はいいよね」と言われることが多いのに。
基本的に、翻訳会社はビジネスの世界、我々現場は職人の世界。
翻訳業界を見る際には、そういう視点も加味する必要があると思います。
これはよかった。一読をお勧めします。
文章術というと、どういう材料をどう料理するかが中心のことが多く、「そのあたり、翻訳ではさわれないんだよなぁ」と思ってしまいます。この本もそういう部分がけっこうありますが、文の書き方や単語の選び方などに割いている紙面も多く、翻訳の仕事にもかなり役立ちそうです。
以下、役立ちそうだと感じた部分で私が思ったことです。詳しくは、本のほうを読んでみてくださいませ。
この三つが並んでいるのは支離滅裂に感じると言われることがあるのでちょっと説明しておきます。
人間、努力すればそれなりのことはできるようになるものです。できないことがあるのはできるようになろうとしなかったから。できないという現状が気に入らないなら、できるように努力すればいいだけのことです。
ただし人間の一生は時間が限られています。何から何までできるようになれるほどの時間はありません。だから、「足るを知る」ことも大事です。こっちができるようになったのだから、あっちができなくてもいい、いや、こっちができれば満足だからあっちはやらないって考えるわけです。そうしないと、がんばりすぎて体なり心なりをこわすのがオチでしょう。
また、「為せば成る」といっても、その道のりは長かったり紆余曲折があったり、いろいろです。瞬間瞬間に一喜一憂せず、「人間万事塞翁が馬」と長い目で自分を見ることも必要です。
「足るを知」って現状に満足しつつ、「人間万事塞翁が馬」とゆったり構えながら「為せば成る」と次の目標に向けて一歩ずつ歩いていく……そんな人生がおくれたら幸せかなぁと思っているわけです。
翻訳フォーラムシンポジウム2021の直前、帽子屋さんがこの本をブログで紹介したのでKindle版を買ってみました。ぱらぱらっと読んで……青くなりましたね。だって、これ読んだら、シンポジウムで私の話、聞く必要ないんですもん。そう言いたくなるくらい、かぶりまくりなんです。そんなふうですから、シンポでは、私も紹介する予定にしていました。時間切れでそこまで到達できませんでしたが。
ともかく。
翻訳者なら買いましょう。つべこべ言わずに、すぐ、買いましょう。全力でお勧めします。アマゾンの書評はいまいちですが、我々にはすごく有益な本です。
書かれているのは、文の部分同士がどういう関係になっているのかを解きほぐしていく手法。目の前にある文について検討したら、似て非なる文についても考えてみて、複数のケースを比較し、同じようになるのか違うのか、違っているならなにがどう違っているのかと考えを進めていくと、いろいろとわかることがあるわけです。今回のシンポジウムで私が語ったのがまさしくそういう話だったし、勉強会「日本語構文マラソン」でやっていたのも、要するにそういう話です。
検討する手法はたくさんあります。私がシンポで紹介したのはごく一部。本書には、もっといろいろ紹介されています。くり返し使って身につければ、「訳文をいじわるに読む」力が格段に上がること、請け合いです。
翻訳フォーラム・シンポジウム2021~力のつけ方・のばし方~、300人超とたくさんの方にお越しいただきました。ありがとうございました。初めてのオンライン開催ということで、いろいろと不慣れな中、開催のお手伝いをしてくださったスタッフのみなさんも、ありがとうございました。
今回はオンラインだったので、人数の制約がない、遠方からでも参加しやすい(時差で大変だったようですが、海外から参加してくださった方も何人かおられました)などのメリットがある半面、スタッフ間の業務連絡も耳打ちですまず文章に書いて送らなければならないとか、参加者側の見え方が確認しにくいとか(スタッフ権限でアクセスしていると見え方が違ったりする)、思わぬところで手間がかかったりしましたが、大過なく終えることができたのではないかと思っています。
ツイッターに流れる感想を見ると、参加してよかったと多くの方に思っていただけたようです。主催者のひとりとして、ほっとしております。
たぶん、ツイートのまとめをどなたかが(^^;)作ってくださると思うので、それができたら、リンクなど、加筆しますね。
------2021/05/21加筆
ツイートのまとめ、mikoさんが作ってくれました。長大です(^^;) 最後のほうには、シンポについて書かれたブログ記事へのリンクも入っています。
翻訳フォーラム・シンポジウム2021 関連ツイートまとめ #fhon2021
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この記事では、私が担当した部分を簡単に紹介しておきます。
昨年はコロナで開催をあきらめた翻訳フォーラムのシンポジウム、今年はオンラインで行います。今月16日の日曜日、朝10時から夕方5時まで、です。お題は「~力のつけ方・のばし方~」。ちなみに有料です。申し込みは(↓)から。概要もそちらに書いてあります。申込期限は5月13日です。
オンライン開催にはメリットとデメリットがありますね~。
メリットは、海外を含め遠くの人が参加しやすいこと。また、人数を制限する必要があまりないこと(すでに、例年ならとっくに満員御礼で締め切ってるはずの人数に達しています)。デメリットは、やはり、参加者間に距離ができてしまうこと。しゃべる側としては、会場にいろいろ尋ねて回答をもらいながらってやり方ができないところが気になります。
そんなわけで、開催する側もいろいろと初めての経験になりますが、鋭意、準備を進めています。
丸一日、頭が痛くなるくらいまで翻訳のことを考えてみましょう。参加をお待ちしております。
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